アトピー性皮膚炎は子どもの病気とそんな風に思われて周囲から理解されず、悩みを誰にも言えずに抱かえ込んでしまっている方も少なからずいると思います。
大人のアトピー性皮膚炎は決して珍しくありません。
厚生労働省が実施している「患者調査」によれば、アトピー性皮膚炎の患者さんの約3分の2が20歳以上の方であると報告(平成26年度調査)されています。
そこで、かゆみなどアトピー性皮膚炎の症状を軽減するための対処法や日常生活での工夫をご紹介します。
日ごろの症状コントロール、かゆみ対策として生活改善のお役にたてれば幸いです。
大人のアトピー性皮膚炎はストレスも原因に!
アトピー性皮膚炎とは、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多くみられる皮膚の炎症を伴う病気です。
そのため幼少期に発症することが多く、また多くの場合、思春期になる頃には自然に治癒することがほとんどでしたが、最近は大人になってから再発するケースが増えているのです。
その原因として考えられるのが、アトピー性皮膚炎になりやすい体質の人で、体調不良や季節の変わり目、花粉症などですが、精神的ストレスも原因のひとつだと言われるようになりました。
アトピー性皮膚炎の症状は?
主な症状は、湿疹とかゆみで、良くなったり悪くなったりを繰り返し慢性化するのが特徴です。
症状が出やすい場所は、おでこ、耳・口・目の周り、首、わき、手足の関節の内側など。
赤みがある、ジュクジュクして引っ掻くと液体が出てくる、ささくれだって皮がむける、長引くとごわごわ硬くなって盛り上がる、左右対称にできるなどの症状があります。
また、ストレスが原因の場合は、顔の湿疹などがひどくなる傾向があります。
生活に支障を起こすこともあり、重症化すれば、紅皮症やカポジ水痘様発疹症、網膜剥離などの合併症を発症することもありますので、早めの対処が重要です。
アトピー性皮膚炎の対処法
アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う病気ですので、つい掻いてしまうことが多くありますよね。
しかし、掻くことでかゆみの原因物質であるヒスタミンが放出され、かゆみがさらに強まって皮膚の状態も悪くなってしまいます。
そこで、いつ、どういうときに、どのくらい掻いたのかを記録する、つまり、かゆみの記録を付けるのです。
それにより、どんなときに掻いているのかを把握することで、かゆみをコントロールしやすくなります。
また、かゆみを悪化させる原因として、室内のダニやホコリ、花粉、ペットの毛などのハウスダストやエアコンなどによる空気の乾燥があります。
アレルギー疾患の患者さんがいる家庭では、床面のダニ数は100匹/㎡以下が望ましいとされています。
そのため部屋はこまめに掃除し、布団やシーツ、枕カバーなども清潔に保つようにします。
床は少なくとも3日に1回、寝具は週に1回、1㎡あたり20秒以上の時間をかけて掃除機をかけるようにしましょう。
普段の生活スタイルが、かゆみを悪化させる要因になっている場合があります。
そこで、栄養バランスのとれた食事や規則正しい生活を心がけるのが大切です。
アトピー性皮膚炎は、ストレスで悪化することが知られていますので、リラックスした時間をもつようにし、できるだけストレスをためないようにすることも大切なことです。
しかし、どうしてもかゆくなるのがアトピー性皮膚炎です。
皮膚は温まるとかゆみが強くなりますので、冷たいタオルや保冷剤などを患部に当てるとかゆみが和らぎます。
また、体を動かしたり、読書やゲームをしたりと、かゆみ以外のことに意識を向けるのもひとつの方法とも言えます。
しかし、いろいろな対策をしてもかゆくなるのが、アトピー性皮膚炎です。
我慢できずにかいてしまっても皮膚を傷つけないように、爪は短く清潔にしておくようにし、就寝中は綿製の布手袋をしておくと、寝ている間の掻きむしり防止に役立ちます。
日常生活での注意点
スキンケア面
皮膚のかゆみやトラブルを防ぐには、皮膚に着いた汗や汚れを洗い流し、いつも清潔にしておくことが大切で、入浴時にも工夫が必要となってきます。
汗をかくこと自体はとても良いことですが、「かいた後の汗」が刺激となって、かゆみを誘発することがありますので、汗をかいたら早めにシャワーを浴びて流すようにします。
また体を洗う場合ですが、ナイロンタオルなどでゴシゴシとこすると、皮膚が乾燥してかゆみが強くなることがあります。
石鹸やシャンプーをよく泡立ててから、手でやさしく洗い、その後は、石鹸やシャンプーなどの洗剤等はしっかりと洗い流すようこころがけてください。
メイク・ファッション面
衣類や髪形など皮膚への刺激になり、かゆみを引き起こすことがありますので、ヘアスタイルはショートやボブなどの短めヘヤやまとめ髪など髪の毛の先が肌に触れないスタイルがおすすめです。
スキンケア用品・化粧品は、敏感肌用のものを選ぶようにし、症状の程度や部位によってはファンデーションを使わず、眉を描く、口紅をつけるなどのワンポイントメイクにとどめるなど工夫が必要です。
毛糸素材やごわごわ・チクチクする素材の衣類は避けるようにして、肌着もウールや化学繊維ではなく、木綿素材がおすすめです。
アクセサリー類ですが、金属の接触アレルギーでアトピー性皮膚炎の症状が悪化することもありますので、アクセサリーやベルトのバックルなどが肌に直接触れないよう気をつけてください。
レジャー面
レジャーに出かける時ですが、普段の治療を中断して悪化することのないように、旅先にも薬を持参しましょう。
また紫外線は、皮膚の水分を奪って乾燥させ、かゆみを引き起こすことがありますので、紫外線が強い時期は、日傘や帽子で直射日光を遮り、自分の肌に合った日焼け止めを利用するようにしましょう。
夏場は水に入る機会が多いと思います。
プールには塩素、海水には塩分が含まれており、皮膚を刺激しますので、海水浴やプールを楽しんだ後は、シャワーで十分に洗い流してください。
さらに宿泊する際は、宿泊先のアメニティグッズは使用せず、普段使い慣れているものを持参するのがおすすめです。
まとめ
アトピー性皮膚炎は、幼少期に発症し、思春期には自然に治る病気でしたが、近年では、大人になってから再熱するケースが増えてきています。
アトピー性皮膚炎は、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人や、皮膚のバリア機能が弱い人に多く見られる皮膚の炎症を伴う病気で、良くなったり悪くなったりを繰り返す慢性疾患です。
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴う病気です。
皮膚炎の症状を軽減するための対処法や日常生活での工夫により、今よりも快適な生活を送るために、アトピー性皮膚炎と上手く付き合っていくヒントにしていただければありがたいです。